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僕がメニューより先にスタッフの名前を覚える理由|接客の本質について

代表・メンバーブログ高井 律明

こんにちは。株式会社KABUWAKE代表の高井律明です。今日は、僕が飲食店の経営者として大切にしている、ある小さな習慣についての話をさせてください。

新しいスタッフが入ってきたとき、僕はメニューより先に、その子の名前を覚えます。

当たり前じゃないか、と思う人もいるかもしれません。でも、これを意識的に続けていると、接客というものの本質が見えてくる気がするんです。

接客の本質は「誰が提供するか」にある

僕はずっと、接客に関してこう思っています。

お客様は、料理だけを食べに来ているわけじゃない。

もちろん味は大切です。でも、同じ料理でも、誰が持ってきてくれるかで、その料理の「おいしさ」は変わる。僕自身、そういう経験を何度もしてきました。名前も顔も知らないスタッフから機械的に出された一皿と、笑顔で「お待たせしました」と言ってくれたあの子が持ってきた一皿——同じレシピでも、後者のほうが間違いなく美味しく感じる。これは感情論じゃなくて、飲食の現実だと思っています。

だから僕は、スタッフの名前を先に覚える。

名前を覚えることは、その人の存在を認めることだから

スタッフの名前を覚えるという行為は、単なる記憶の話じゃありません。「あなたのことをちゃんと見ている」というメッセージです。

人は、自分をちゃんと見てくれている人のために、もうひと頑張りできる。これは、お客様に対しても、スタッフに対しても、まったく同じことだと僕は思っています。お客様が「また来たよ」と来てくれたとき、スタッフが顔と名前を覚えていて「いらっしゃいませ、○○さん」と言えるか言えないかで、そのお店への愛着は全然違ってくる。

その接客ができるスタッフを育てるためには、まず僕自身が、スタッフ一人ひとりをちゃんと見ている必要がある。言葉で「大切にしろ」と言うより、代表自身の姿勢で見せていくほうが、ずっと伝わると思っているんです。

「マニュアル接客」と「心のある接客」の違い

よく、飲食業界の課題として「マニュアル接客になりがち」という話が出ます。でも僕は、マニュアルが悪いとは思っていません。問題なのは、マニュアルの向こうに「人」がいないことです。

「いらっしゃいませ」「ご注文はお決まりですか」「ありがとうございました」——この言葉たちは、誰が言っても同じに聞こえることもあれば、その人だからこそ温かく聞こえることもある。差を生むのは言葉じゃなくて、そこに「この人のことを気にかけている」という気持ちが乗っているかどうかだけです。

名前を知っている相手には、気持ちが乗りやすい。単純なことですが、これが接客の入口だと僕は思っています。

スタッフを大切にする会社が、お客様を大切にできる

もうひとつ、正直に言っておきたいことがあります。

スタッフが自分の会社から大切にされていないと感じているとき、その子がお客様を心から大切にすることはできません。これは冷たい言い方に聞こえるかもしれないけど、僕はむしろ温かい話だと思っています。人は、愛されている場所でしか、愛を渡せない。

だから、僕がメニューより先にスタッフの名前を覚えることは、接客の話であると同時に、経営の話でもある。スタッフを一人の人間として見ているよ、ということを、言葉じゃなく行動で示す。それが積み重なることで、スタッフも同じようにお客様を見ていく。そういう文化が、じわじわとお店に染みこんでいく。

当社が掲げるVISION「飲食業を、働きたい職業の中心にする」というのも、つまりはこういうことです。スタッフが誇りを持てる環境を作ることが、結果としてお客様に最高の体験を届けることにつながる、と信じています。

名前を呼ぶだけで、現場は変わる

大げさに聞こえるかもしれませんが、スタッフの名前を呼ぶだけで、現場の空気って変わるんです。「ちょっとあの子に頼もう」じゃなくて「○○、ちょっといい?」と名前で呼ぶ。それだけで、その子の返事のトーンが変わる。やる気の出方が変わる。

小さなことの積み重ねが、接客という文化をつくっていく。僕はそう思っています。

これからも、現場にいるスタッフ一人ひとりの名前を、誰より早く覚える代表でいたい。そしてその姿を見て、スタッフたちが自然とお客様の名前を覚えていく——そんなお店を、これからも作り続けていきます。

株式会社KABUWAKE
代表取締役 高井 律明