
今日は、ある一人のスタッフの最終出勤日でした。韓国から留学で来ていた彼女が、母国へ帰る日。その別れ際に、僕は思いがけず大切なことを再確認させてもらいました。今日はそのことを、書き残しておきたいと思います。
正直、「この子、大丈夫か?」と思っていた
彼女が入ってきた当初、正直に言うと不安でした。日本語もまだ上手とは言えず、アルバイトの経験もない。動きはゆっくりで、声も小さい。居酒屋という現場で、お世辞にも「仕事ができる」とは言えませんでした。
店長に「どんな子を採用してるんや」と、半分冗談で言ってしまったこともあります。愛嬌のある、いい子でした。でも正直、居酒屋には向いていないし、すぐ辞めてしまうだろう——そう思っていたのが本音です。
人は、こんなに変わるのか
ところが、彼女は意外なほど根性がありました。日本語はみるみる上達し、あんなに小さかった声も、しっかり通るようになっていきました。最後のほうには、僕の中の「人はそう簡単に変わらない」という考えを、根本からくつがえすほどの成長を見せてくれたんです。
見違えるように働く彼女の姿に、僕は思わず涙を流したことがありました。一人の人間がここまで変われるのか、と。その事実が、ただただ嬉しかった。
わざわざ、挨拶に来てくれた
最終日、お店が終わったあと。彼女は、たまたま近くで飲んでいた僕のところまで、わざわざ挨拶に来てくれました。僕自身は、現場で彼女と直接関わる機会はそう多くありません。それでも足を運んでくれたことに、このお店の先輩や上司が、彼女に大切なことをしっかり教えてくれていたんだな、と感じました。
そして、こんな言葉をもらいました。
「社長、働かせてくれてありがとうございました。韓国に帰っても、この経験は絶対に役に立つと思います。韓国から、お母さんと食べに来ます。」
めちゃくちゃ嬉しかったです。
会社は、ちゃんとしたことを教える「最後の砦」
僕は日頃から、店長や責任あるポジションのスタッフに、口酸っぱく伝えていることがあります。
「ちゃんとしたことを教えてくれる最後の砦が、会社や。だから上司や先輩には、部下や後輩にちゃんとしたことを教える責任がある。うちを辞めても、次のステップで活躍できたり、自分のやりたいことを叶えられるように——愛のある厳しさを持ってほしい。それがその人のためになるし、それが責任やから。」
今回のことで、お店のスタッフたちがそれをちゃんと実行してくれていたんだと分かりました。それが、まず嬉しかった。そして、その厳しさを真剣に受け止め、自分の力で頑張り、見違えるほどに成長したこの子のことも、心から嬉しく思いました。
こういう喜びこそ、生きている意味だと思う
こういう瞬間に立ち会えることこそ、僕が生きている意味だと、あらためて感じました。これからも、たくさんの人と関わっていきます。だからこそ、会社全体で、しっかり一人ひとりの従業員に向き合っていこうと思います。
最後に、スタッフたちがサプライズで動画を送ってくれました。それを見て、僕も思わず涙が出ました。なんか、こういうのいいですね。
彼女のこれからに、心からのエールを。いってらっしゃい。お母さんと一緒に来てくれる日を、楽しみに待っています。