こんにちは。株式会社KABUWAKE代表の高井律明です。今日は、経営者として、ずっと大切にしてきた「一つの決断」について書かせてください。それは、値下げをしない、と決めたことです。
「安くすれば来てくれる」は、本当か
飲食店を経営していると、売上が落ちたとき、真っ先に頭をよぎるのが「値段を下げようか」という選択肢です。クーポンを出す、セールをする、ランチを安くする——一時的に集客できるかもしれないし、正直そっちのほうが楽です。でも、僕はある時期から、この選択肢を意図的に外すことにしました。
理由はシンプルで、価格で来てくれるお客様は、もっと安い店ができたら去っていくからです。そして値下げを続けると、現場のスタッフに払える給料も、料理の質も、じわじわと削られていく。それは、KABUWAKEが目指す方向とまったく逆です。
「高い」と言われたとき、僕が考えること
値下げをしないと決めると、当然「ちょっと高いよね」という声が届くことがあります。最初のうちは、その声が気になりました。でも、今は違う受け取り方をしています。
「高い」という言葉の裏には、「その値段分の価値が、まだ伝わっていない」というメッセージが隠れているんです。価格の問題ではなく、価値の見せ方の問題。だとすれば、答えは値下げじゃない。伝え方を変えること、体験の質を上げること、そこに集中するべきだと気づきました。
価格で選ばれる店より、価値で選ばれる店でいたい
僕が理想とするのは、「あの店、ちょっと高いけど、やっぱりあそこがいい」と言ってもらえる店です。値段より、その場の雰囲気、スタッフの人柄、料理のこだわり——そういうものに惹かれて来てくれるお客様と、長く関係を続けていきたい。
価格競争に参加した瞬間、うちはただの「安い選択肢の一つ」になってしまいます。それは、スタッフの誇りにも関わることだと思っています。自分たちが一生懸命作っているものを、安売りしてほしくない。そう現場のメンバーにも、よく話します。
値下げしない分、価値を上げ続ける責任がある
もちろん、値下げしないと決めたからには、その分だけ価値を上げ続ける責任が生まれます。料理の質、接客の温度、空間のこだわり——「この値段で来てよかった」と思ってもらうために、やれることはまだいくらでもある。
値下げをしないことは、サボることじゃない。むしろ、逃げ道を一つ塞いで、正面から価値と向き合い続けることです。それが、KABUWAKEが目指す「価格ではなく価値で選ばれる店」への、唯一の道だと信じています。これからも、その覚悟を持って経営していきます。
株式会社KABUWAKE
代表取締役 高井 律明